エビの孵化直後の飼育用の餌として単細胞の珪藻類は不可欠です。藻類などの一次生産者である独立栄養生物には、窒素・リン・ケイ素が高濃度で維持されることが必要ですが、地熱による熱水には、海水の数百倍以上の親生物元素(窒素・リン・ケイ素)が含まれており、高い栄養を含む一次生産者から最高の状態で二次生産者であるエビ養殖が可能となります。当社の使用する熱水は稚エビの成長には最も適しており、熱水の持つミネラル成分も豊富に摂取できます。また、コスト面でも、病気にも強く、成長が早いバナメイエビは植物性分解酵素のエサで育つために、動物性分解酵素しか持たない車エビと比較して、約3分の1以下のコストで養殖が可能となります。
※現在は生産に向けての研究開発段階ですので、稚エビなどの販売は行なっておりません。
バナメイエビの完全養殖とは?
完全養殖とはエビの人工交配から孵化、養殖育成、販売までを一貫して行うことを言います。バナメイエビの孵化は非常に難易度が高く、日本では初の試みとなります。稚エビの孵化には、無菌の水と温度、ミネラル・pHの他・光・酸素が必要です。当社の保有する土地から得られる温泉水の成分がエビの育成に非常に適合していることが当社実験を通じてわかりました。(写真はバナメイエビのノープリウス幼生)
温泉水からできる天然の無菌水
バナメイエビの産卵は非常にデリケートで、孵化時においては無菌でなければなりません。東南アジアや台湾の孵化場では海水を配管で引き込んでおり、海水をろ過し、UV殺菌を行う等の殺菌設備に大きな費用がかかっています。しかし温泉水は地下数百メートルでは200℃を超える超高温、超高圧下にあり、そこでは微生物によるヒートショック等の汚染がないので、そのまま何の処理もなく利用できるメリットがあります。
飼料コストの大幅削減
バナメイエビは雑食性で、植物性たんぱく分解酵素を持ち、大豆や小麦などのたんぱく質も分解し、栄養源として体内に取り入れることができます。クルマエビやブラックタイガーは動物性たんぱく分解酵素しか持たないので、魚粉ベースの餌しか食べません。魚粉等の動物性たんぱくはkg換算で700円程度に対し、大豆や小麦等の植物性たんぱくは、養鶏飼料などと共有できるため、kg換算で150円程度で済みます。これは養殖コストに大きな差が出ます。